昨日アニメ『009 RE:CYBORG』を見た。
石ノ森章太郎の漫画『サイボーグ009』とTVアニメにハマりまくった幼少期を過ごしたワタシとしては、hulu に登場したので即とびついた。しかし残念なことに、やってられへんわ的超がっかりな映画だった。あの監督とプロダクションI.G. にかかると009すらも『攻殻機動隊』になってしまうのね。『攻殻機動隊』も大好きなアニメではあるが、攻殻機動隊的哲学的モノローグと飛行機シーンは009とは相容れない。飛行能力のないフランソワーズが飛行機から飛び降りるシーンは素子が憑依したのかと思ったし、ジェロニモが暴れるシーンはバトーを見ているようだった。しかしバトーとジェロニモはそもそものキャラが違う!わたしはバトーの不器用な一途さ、ごつい体の中にひそむ繊細さが大好きなのに、ジェロニモが繊細さを欠いたバトーのように描かれていて、どちらにも申し訳ないような気になった。
そのほかキャラクターに関しては、ハインリヒとジェロニモは原作より格好よかった。しかし島村ジョーは、ただただ残念。私が人生初に惚れた男だったのに、あんな能面みたいな顔にされちゃって。髪だって、あの茶色い揺れる長い髪がよかったのに、変な髪型にされちゃって。フランソワーズがエロすぎたのもよろしくない。かつて女の子だった私はジョーとフランソワーズのエロいシーンにはむちゃくちゃ腹がたった。ジョーは永遠の少年なのに、と嘆いたおばさん女子は多いはずだ。
あとですね。つまんないことですが。
長いマフラーがトレードマークなのに、長すぎて邪魔でしょ? これ踏んだら転ぶよ、と思えてしまった。
よかった点。
巨匠石ノ森章太郎が描ききれなかった未完の天使編のラストに挑んだ勇気は買います。
月の裏にあった天使の化石は黙示録的でよかった。「彼の声」は攻殻機動隊的でしたが、「天使の化石」というモチーフはよかった。
加速装置のシーンはよかったです。今のアニメ技術は素晴らしいです。はい。
もうホントにダメじゃんな点。
002が009を大気圏外までテレポートできる超能力があるのなら、核ミサイルくらいどうにでもできたんじゃないかなあ……。
ドバイに核ミサイルが落とされた後のジョーの心象風景。あれって死んだんじゃないのか? って思わせる。でも伏線もなく実は生きてましたって展開だった。ご都合主義!
ラストの大気圏内での核ミサイル爆破のあとのシーン。ジョーが「神よ!」と叫んで死ぬのは、やたら重苦しい前半の哲学的展開とは別映画にようでしらける。全体に前半が重すぎ、後半はプロットが荒すぎ。
そしてジョーやジェットやピュンマやグレートが、死んだのに死んでないように見せるラストのぬるい演出がホント日本的で超がっかりだった。『T2』のシュワルツェネッガーくらい、その死に厳粛さを持たせないと、主人公を殺す意味はない。
などなどと酒を飲みながら話したら、漫画『サイボーグ009』をきちんと読んだことのないダンナが「ジョーの名字はしまむらっていうの?」と絶句して、気がついた。
今やしまむらは安売り服の代名詞であった。
嗚呼わたしのジョー……。
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