1週間ほど前から、夕方になると体育館でエイサーの練習が始まるようになった。
体育館はドクター部屋の窓の右側はるか下に位置する。しかしエイサーの練習=太鼓の大音響。クソいまいましい太鼓の音は丘の上の6階にまでしっかり届く。
こちらに越してきて2年間、6月から10月までエイサーの練習の騒音に苦しめられた。おかげで今ではエイサーの太鼓の音を聞くと条件反射的に気分が悪くなる。動悸がして喉に何かがつかえたような具合になるのよ。
そこで夜8~9時くらいまで、帰宅するかリフレッシュルームまたはラボに行って、食事またはその他の用事をする。
それから再びドクター部屋に戻ってあれこれを再開するのだが・・・夜中には夜中の騒音があってですね。
それは犬の鳴き声。
沖縄の人は「暑いから」「面倒だから」と犬の散歩をしない。で、どうするか、というと、ひもを解き放って野放しにする。
その放し飼い犬がいつしか野犬と化し、琉球大学の体育館と理学部と工学部の間のジャングル地帯で群れをなす。
その犬どもがギャンギャン鳴いたり遠吠えしたり、するのです。
私は犬が嫌いである。なぜなら吠えるからである。特にお茶の間愛玩小型犬はキャンキャンやかましくてどうにもダメだ。中型・大型犬はこわくてダメだ。子供の頃、従兄弟が飼っていた犬に襲われて頭を何針も縫う怪我をしたのを目の当たりにした。
断っておくが、私は犬が嫌いなだけで、犬好きな人が嫌いなわけではない。犬好きな友人だって何人もいる。犬好きな人と話していて、「犬は嫌いだ」などとは言いたくない。私だって「猫って嫌いなのよね」などと言われたら悲しいもんね。ゆえに、いつでもどこでも犬の話は極力しないことにしている。
しかしこの際カミングアウトだ。
柴犬だけだな、好きなのは。
休日や夜中の理学部周辺を、野犬と化した大型犬や中型犬がフラフラ徘徊している。いつだったか比較的最近の休日の午後、複合棟の1階ロビーに茶色の中型の雑種が入り込んでいたことがあった。出くわした時はビビッた。飛びかかられでもしたら、広告代理店のエロ親父ならサンダルで殴って撃退することもできるが、中型犬ではバットくらい持っていないと対処できない。
噛まれたら誰に文句を言えばいいのだ。
大学が保健所に連絡すべきではないのか。
それもこれも、飼っている犬の散歩を面倒くさがる、沖縄人のてーげーさが原因だ。歌って踊っては一生懸命やるくせに。
国道58号線を北上、北谷や恩納あたりで道の左側に海が見えると「やっぱり沖縄、いいなあ」と思うのだが、しばらく潜らずに陸にいると「やっぱり沖縄って・・・」が心の底に沈殿していく。