大原拓が琉球大学大学院理工学研究科海洋生物科学専攻の社会人大学院生になる、つまり私の後輩になることが正式に決まった。
Facebook で喜び全開の拓は、自分の7年前を見るようである。
目の前に広がる(ように見える)可能性やら、果たして続けられるのかという不安やらで、複雑な、しかしアッパーでハッピーな、頑張るぞー!的前向き気分なのだろう。
私は手探りで自分を拾ってくれそうな先生探しを始め、やっとのことで広瀬裕一教授を見つけて直談判に行った。
拓は私が紹介した複数の先生から自分の気に入った先生を見つけた。
つまり「指導教官選び」という最初のものすごく大切な段階で、拓はずいぶん楽をしている。
しかも琉球大学の社会人大学院生だから、試験なし面接だけ。ちなみに筑波大学や東京大学は社会人大学院生でも英語などの試験がある(情報科学系の話だけど、生物学系でも同じだと思うよ)。
大卒でさえあれば誰でも入れる、というと言い過ぎだとは思うけど、プロパーの大学生よりも楽して入ったことはよくよく自覚しておくべし。
こんなもんか、楽勝じゃん、とタカをくくってしまっては卒業は難しい。
ま、しかしね、博士前期課程(修士課程)では指導教官の指導に従って実験や観察を行って、指導教官の指導に従って修士論文を書けば修士はとれます。オリジナリティは不要・英語の投稿論文を1本も書かなくてもよい。
問題は博士後期課程(博士課程)。私も入学前に「修士はそんなに大変じゃないと思います。大変なのは博士課程です」と千葉大学の平野先生に言われたが、実際に後期課程に進学してはじめて先生の言葉の重さがわかった。
プロパーの学生でも博士号を3年で取るのは難しい。まして仕事をしながらの大学院生では。山下くんは6年かかったし、私は4年かかった(私の場合、D3の昨年は研究せず仕事ばかりしていたせいで1年のびたのだけど)。
拓は社会人大学院生だから普通の倍の年数、つまり修士に4年、博士に6年かけられることだし、最初からそのつもりでいるといいかもよ。
いや、後期課程まで進学するかどうかは今考えなくていい。前期課程で様子を見てから決めればいい。
大学院に進学するメリットとしては、アカデミックな世界の人脈が広がる(本来ならどんなヒトに対してもアカデミックな世界は開かれているべきだと思うが、この問題はここでは割愛)。質問したくても誰に質問すればいいかすらわからなかった進学前が別世界のように思えるくらいだ。
曇ったガラスを拭くように視界が晴れる。まさにそんな感じです。
進学したら人脈を大いに活用し、大学図書館も活用し、たくさん勉強してください。さすれば自分が修士までで必要かつ十分か、博士まで進むべきか、おのずと見えてくると思います。
もしかすると世間の常識が通用しないアカデミックな世界に、後期課程に進む前にうんざりしてしまうかもしれないし。
でも拓ならきっとこの世界の変人たちにも嫌われず・嫌わずに、うまくつきあっていけるだろう。「おたくの底力を見せてやる」とか言ってアカデミック業界のヒトに喧嘩を売る人が沖縄島沖合のなんとかいう島にいらっしゃいますが、彼のように変なプライドにがんじがらめになる(自縄自縛といいますかね)よりは、拓のように素直に「勉強したい」と思うほうがよほど得だ。
そして、謙虚な人に対して、変人たちはやさしい。
学徒は真理の前に常に謙虚でなくちゃね。
という言葉をお祝いの言葉に代えて、拓に捧げます。
そして、海洋生物に関心のある、すべての大卒の皆さんに、この記事を捧げます。
琉球大学大学院にめんそーれ。
進学したい人は連絡をくれれば、私が沖縄に暮らしている期間中限定ですが、相談に乗ります。
詳しくは今年2月14日の「出張進路指導」をご覧ください。