昨日スペイン人研究者から「りえ、この論文に書かれてあること、どう思う(=正しいと思う)?」と、とある日本人非ウミウシ研究者の書いたウミウシ論文に関する問い合わせメールがきた。で、ワークショップの直前だというのにその論文を急いで読まなくてはいけなくなった。まぁね、ほぼ毎日、は大袈裟にしても10日に2-3本くらいは論文、読んでますけど。しかしワークショップは全ウ連初の試み。明日明後日はその準備を入念に、と思っていたのだがなあ。
今日は<ダイブカーム>の小谷さんに「『日本産後鰓類データベース』の基本となるところ、もうすぐ出来そうだけど、できた後全部見なおして属とか種とか新しく書き直すんですよね。2ヶ月で中野さん1人でできるんですか?」と言われた。
出来るも何も、やるしかないでしょー!
私以外にやれる人、日本にいないだろうし。
でも2ヶ月でやり遂げるのは絶対に無理だな。4ヶ月は必要。
『ベータ版日本のウミウシ』は、画像全部ぶっ壊れ茫然自失状態から、頭楯目のみやっとこさ修復。
『ベータ版日本のウミウシ』のバージョン1は、D 論執筆と並行して、5ヶ月かかって作ったのだった。
バージョン2 以降は、『ちりぼたん』(日本貝類学会の和文雑誌)に投稿して受理された論文内容を反映するかたちでバージョン10まで進めたところで紙の媒体に・・・と計画していたが、『ちりぼたん』は年4回刊行の予定が年1回すら出ない年もあったし、詳しく書けないややこしい事情にうんざりした年もあったしで、当初の予定では既にバージョン7か8までいっているはずが未だ3を出せずにもたもたしている。
かくなるうえは、『日本産後鰓類データベース』が公開できれば、紙媒体にしてもいいかもしれない。『ベータ版日本のウミウシ』に反映しようと思っていたのは、和名提唱のための和文論文なわけだし。それを書く時間を省くほうがよほどいいような気がしてきた。
昨日とうとう大瀬崎のちびすけさんから「はやく図鑑出して」とfacebook 上に書かれてしまったことだしねぇ~。
しかしね、研究者はガイドさんと違って責任が生じるので、図鑑類をホイホイとは出せないのです。
最近、とある分類群の某研究者がその分類群の図鑑の監修を引き受けたはいいものの、写真と文を担当する某ガイド氏(どこのガイドさんかな? 伊豆諸島か伊豆半島のガイドさんだと聞いたけど)につきあいきれなくなって監修を降りて、結局その某ガイド氏が専門家の監修なしの図鑑を出したとか出すとかいう話を聞いた。
これは、そもそもが、ガイドさんを研究者と同列に扱う出版社の蒙昧(もうまい)が大間違いなわけです。出版社がアホだからガイドさんが研究者きどりで監修者もつけずに図鑑を出すこと※が問題視されなくなる。
ウミウシは大間違いな図鑑が何冊も何冊も世に出てしまっている(私もかつてその片棒を担いだ)ので、今やなんちゃって研究者となった私は、出版する気満々な一方で、どうしても慎重になります。
「図鑑」ではなく「ガイドブック」ならシロウトでも出せて、どんなに間違えてもシロウトなんだからしかたない=構わない、みたいな風潮に、いい加減終止符を打ちたいのだが。
※私はガイドさんを貶めてこう書いているのではないよ。ガイドにはガイドの得手不得手があるが、研究者にも研究者の得手不得手がある。だから相互補完すべきだ、という内容のことが全ウ連の設立趣旨書に書いてある。貶めるべきは、そういうガイドブックを「売れるから」という理由で、何の考えもなく出す出版社の編集者だ。本を知的財産などと考えてはない、消耗品としか思ってないってことだろう。
いずれにせよ、ウミウシの図鑑に関しては、いい加減なんとかしないといけない頃ではある。かつてのmy ボス佐々木先生より年上の、貝類研究の大先生にも「そろそろですか?」と言われたことだしなあああああ。
よし、紙の図鑑に関しては、ちょっと動いてみることにしよう……東京に戻ったら。
とか書いているうちに上記の論文、ほぼ読んだ。斜め読みだけど。アタマ破裂しそう。急いでビールを飲まないと。
追記:もう4時だしビール2本めだけど、どう返事すりゃいいのか見当もつかぬ。
呆れた論文だ。スペイン人の困惑もよくわかる。これに関しては明日以降に。