父入院。母とふたりで病院まで付き添う。
病室に落ち着いてから、父が母に向かって、
「暑いからなー、お前、手術の日、来んでええで(=来なくていいよ)」
「そうやねー」と、母。
母と帰宅して、ふたりで夕食。
食事をしながらネットを見て、
「うわー手術の日、9月1日て大阪の気温、35度もある! こらあかん。手術の日、ママ留守番しとき。手術無事終わったら電話するから」
というと、母キッパリ、
「いや、行くよ」
「なんで?」
「2月に入院した時も、『寒いからなー、お前来んでええで』、て言うたからあんまり行けへんかったやろ。そしたら退院してから『お前、2回しか見舞いに来えへんかったなあ』、言いよってん(=言ったのよ)」
「へー! 数えてたんや!」
「『なに言うてんのん、あたしの代わりに理枝が毎日病院行ったやろ』、言うたら、『そやけどな~』、言うて、拗ねよんねん」
「(爆笑)」
「手術の日に行けへんかったら、後が大変や」
「(さらに爆笑)」
「そんなんやから、明日は理枝に任せるけど、手術の日は行くわ」
そういえば父、昨夜はTVの歌番組を見ながら黒霧島(芋焼酎)のお湯割りを飲んで、
「フランク永井のな、そばにいーてくーれるー、だけでいーいー、いう歌あるやろ。ワシなーお前のことそう思てんねんで」
と母に言った。聞いているこちらが恥ずかしくなるようなことをイケしゃあしゃあとぬかしやがって。さすが元コピーライター。昔とった杵柄。と私は思った。
いっぽう言われた母は「あーはいはい」と言いながら食器を洗っていた。
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