夜1時過ぎ、母がよたとやと起き出してきて「りえーどないしょう、寝られへんねん、ベッド入って2時間たつのに全然寝られへん」と辛そうに言う。
そこで私、「大丈夫! ママは今日は2時間以上昼寝したから。6時間まとめて寝られへんでも、2時間+4時間でもいいんやて(=いいそうよ)。だから寝られへん寝られへんて悶々とするより、起きて何かしたら? 私つきあうよ」
すると母、少し安心したように、「そうかー? ほんなら、おなかすいたし、何か食べよかな」と、冷蔵庫からわらび餅を出してきた。
母はわらび餅と緑茶、私は紅茶。
フランスに行くと決めてから、母はフランス語の勉強を始めた。そのノートを見ながらお茶をすすりながら話をする。
と、突然、「わたしが死んだらなー」と、母が言ったので、
「大丈夫! 親父が死んだ時の手続きは私が全部やった、だから心配せんでも大丈夫。それよりなー近い将来東京には間違いなく直下型の大地震が来るみたいやから、私のほうが案外ママより早く死ぬかもしれへんよ? せやから人が死んだらどないしたらいいか、ママも覚えといてね、ママは記憶力が年の割に抜群にええから。私よりもフランス語がわかるくらいやし」
と、それまでの話の流れで、軽口のつもりで言ったら、
母が号泣した。
そして、
理枝が死んだら、私はもう生きていかれへん。生きてる意味ないやん。
と言った。
今までの人生で、
酔っ払ってやらかしてしまった数々の失敗よりも、
思春期の頃に「もう死にたい」とまで思った、(当時は)つらかった時にやらかしたあれこれよりも、
今日のこの発言を私は後悔した。
母よりも1分1秒でも長生きしようと決意した、本日の午前2時だった。
追記:
ただいま午前5時。母は熟睡してます。
よかった。
追々記:
ただいま午前5時30分。母また起き出してきたのでお手洗いに連れていって、その後お茶をご所望なさったので抹茶入り煎茶の冷えたやつを飲んでいただいて、それから寝室にお連れした。
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