1997年に香港が中国に返還される時、「大阪も香港と一緒に中国に返還されるんだそうだよ」という噂、ではなく冗談が、関東のごく一部でまことしやかにささやかれていた。
言い出した人は「大阪は東京より1.5倍太陽が大きい」とか「大阪のディスコ(当時ママ)では皆そろばんを持って「儲かりまっか?」「儲かりまっか?」と言い合いながら踊っている」とかの、大阪に対する偏見に満ちた冗談も繰り返していた。
大阪人をバカにしくさって、と、私はそんな冗談を言う大学の友人を苦々しく思っていたが、一方で、本音で話す商売人の街はたしかに中国的なのかもしれない、とも思っていた。そして香港に対しては、中国共産党による独裁政治が行われているあんな国に併合されるなんて、なんて可愛そうな、大阪は日本の一部でよかった、と思っていた。
そんな具合に一方的に変なシンパシー?を香港に感じていた元関西人で、天安門事件をTVで見ていた世代な私は、香港の人たちの抱いている危機感がどれほど強いかがよくわかる。人権も何もあったもんじゃない国に送られてしまうって、ソビエト時代の強制収容所に収監されるくらいの恐怖なんじゃないか。
まさか天安門事件の時みたいに軍が一般市民を弾圧するとは思えないけど……と思っていたら、既に暴力はふるわれてしまった。黒装束の警官が学生に棍棒を振り下ろすシーンは、近未来SFを見ているような信じがたさだった。
Change. org の署名運動に参加したことの他には何もできないけれど、香港の人たちがあの独裁国家に呑み込まれてしまいませんようにと祈るばかりだ。
がんばれ香港! 中国共産党の圧力に屈するな! 国際世論は香港市民の味方です!
日本は、憲法で言論・表現・報道の自由が保障されているのに、マスコミが自ら自由を放棄し、権力者に忖度して権利を自ら規制してしまう情けない国だ。アメリカよりも中国と仲良くしないといけなくなる近い将来、日本はいったいどうなるんだろう。
.